まだスポットライトが当たっていない物事を見つけて、よくよく観察して、誰かに「ねえねえ、聞いて」って語りかける。

そういうことが好きで、ライターや編集の仕事をしている。

言葉は光を当てるものであっても、刃であってはならない。

不確かな情報を蔓延させるようなことに加担してはいけない。

そのことを、改めて心に刻んでいる。


年始に能登半島地震が起きたとき、テレビのニュースをいち早くつけた。そのうちネットニュースやSNSを開けば痛ましい、そして確かか不確かか分からない情報がたくさん目についた。

1つの情報に対してあれこれ考えるクセがあって、そうするとまずは心を、感情を持っていかれて、次に頭、思考がそのことでいっぱいになると、「今日はこれをやろう」と思っていたのに身体が動かなくなる。

心、頭、身体。

人間はほんとうに複雑にできている。

「いま自分ができることをするほかない」と、頭では分かっているんだけど……インプットで飽和状態。

「これはまずいかも」と思い、そこから一切のSNS、ネットニュースを遮断した。目の前にある生活に、ただただ集中した。

そうして2週間ほど経った頃だろうか。

ふっと心が軽くなっただけでなく、以前よりも視界がクリアに見えるようになっていることに気がついた。優柔不断で迷いがちな性格だけど、判断も素早くなった。

感覚が研ぎ澄まされた気がした。

メディア作り、コンテンツ作りに関わる人間として情報を発信する側だけど、時折、情報の波に飲まれそうになる。

大学の授業で「メディアリテラシー」という言葉を散々聞いてきたんだけど、あの頃よりさらに、わたしたちが生きる今は、情報の取捨選択もどんどん複雑になっている。

だからときには、情報のファスティングをしてみるのもいいのかも、と思っている。

あとは30分ほど外で太陽の光を浴びて風景を見ながら歩いたり走ったりするだけで、気分が晴れやかになる。セロ活です。

これからもときどき取り入れたいと思っている、私的「ラクに生きる」ライフハックの一つです。